【医療機関向け】オンライン診療と遠隔診療の違いとは?必ず知るべき導入目的
医療業界で広く浸透しているオンライン診療ですが、導入にあたって遠隔診療や遠隔医療、遠隔健康医療相談との違いを理解しておくことが重要です。
オンライン診療は遠隔診療と実施する目的が異なり、医師と患者間で双方向コミュニケーションを実現する専用システムの導入が必要になります。
この記事では、医療従事者に向けて、オンライン診療と遠隔診療の定義や導入する目的の違いを徹底解説します。
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オンライン診療と遠隔診療の違いとは?
オンライン診療と遠隔診療の明確な違いは、実施する目的にあります。
医療業界に先に浸透したのは遠隔診療です。僻地・離島に住む生活者に対する医療提供の活性化や、地域偏在の解消などが主な目的とされています。
遠隔診療の新たな呼称となったのが、オンライン診療です。
オンライン診療は、医療従事者に新たな働き方と診療方法を与え、患者の通院にかかる手間と時間を削減する目的で実施されています。
他にも、オンライン診療と混合されやすい用語として遠隔医療や遠隔健康医療相談がありますが、目的や実施する内容は明確に異なります。
遠隔診療からオンライン診療に呼称変更された背景
かつては遠隔診療と呼ばれていたオンライン診療が、今日までどのように医療業界と社会に浸透してきたのか、その背景を紹介します。
①遠隔診療は電話再診の枠組みだった
遠隔診療は、かつて電話再診の枠組みとして算定されていた医療の一形態でした。
厚生労働省は、1996年に遠隔医療に関する研究班を設置し、遠隔医療の実態や有効性の調査研究を始めました。そして、1997年になって遠隔診療通知が発行されたこともあり、本格的に遠隔診療が導入され始めた背景があります。
1997年から現在まで、医療のデジタル化や通信技術の進歩に伴い、遠隔診療の範囲と方法が拡大されてきました。しかし、明確なガイドラインや定義が存在しないことから、遠隔診療の活用は限定的だったと考えられます。
出典:COVID-19パンデミック前後における遠隔医療の普及と課題|総務省
②オンライン診療ガイドラインが発表
2015年、厚生労働省は遠隔診療の解釈を明確化し、活用を広める方針を打ち出しました。
その後、2018年3月にオンライン診療ガイドラインとなる『オンライン診療の適切な実施に関する指針』が発表されたことで、オンライン診療という呼称が一般化します。
オンライン診療ガイドラインでは、ビデオチャットやメッセージ機能などのオンラインツール・システムを使用した診療方法が具体的に示されています。
オンライン診療は、医師と患者間のリアルタイムなコミュニケーションを推奨するものであり、医師が遠隔地にいる場合でも、患者に対して適切な医療を提供することが可能となりました。
出典:オンライン診療の適切な実施に関する指針(令和5年3月一部改訂)|厚生労働省
③初診におけるオンライン診療の規制が緩和
2022年1月28日、厚生労働省によって公表された改訂版のオンライン診療の適切な実施に関する指針とQ&Aで、初診における規制の緩和が行われました。
ガイドライン改訂前は、初診のオンライン診療では原則対面診療を行うよう求められていました。
緩和後は、以下のような要件を満たすことで、初診でもオンライン診療が可能となりました。
- 原則としてかかりつけの医師が行う場合
- 患者に対する十分な医学的情報を得られている場合
- 診療前の相談で医師と患者で合意に至った場合
- ガイドラインのオンライン初診が可能な傷病に沿った実施
- ガイドラインのオンライン診療で処方できる薬剤に沿った実施
ただし、規制の緩和後も医療の質を保つために、オンライン診療と対面診療を組み合わせて実施することが望ましいとされています。
出典①:オンライン診療の適切な実施に関する指針(令和5年3月一部改訂)|厚生労働省
出典②:オンライン診療の適切な実施に関する指針に関するQ&A(令和4年1月改訂)|厚生労働省
遠隔医療とオンライン診療の関係性
オンライン診療は、遠隔医療という大きな括りの中で実施される医療サービスです。
ここでは、遠隔医療の定義とオンライン診療との関係性や、遠隔健康医療相談との違いについて詳しく解説します。
①遠隔医療とは
遠隔医療とは、厚生労働省が策定した『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に基づいて定義された、情報通信機器を活用した健康増進や医療に関する行為のことです。
遠隔医療では、通信インフラや情報システムを活用し、医療従事者・介護関係者・患者などの関係者間で、必要な情報の迅速かつ円滑な伝達・提供・共有が行われます。その結果、地域における医療・介護サービスの隔たりのない環境を実現する役割を果たしています。
遠隔医療の大きな目的は、ICTを活用することで医療資源へのアクセス環境を改善し、必要な時に対象者が医療サービスに容易にアクセスできるようにすることです。
出典:遠隔医療モデル参考書 -オンライン診療版-(令和2年5月 )|総務省
②オンライン診療と遠隔健康医療相談の違い
オンライン診療は、専用のオンラインツールを活用し、医師と患者間で診療や治療が行われる遠隔医療の一形態とされています。
一方、遠隔健康医療相談は、医師・専門家と患者間で健康に関する相談やアドバイスを遠隔で対応する行為です。
主に健康管理や予防的なケアに焦点が当てられ、特定の疾患に関する相談や、生活習慣の改善のアドバイスなどが含まれます。
遠隔健康医療相談では、相談者の個別の状態に応じた具体的な診断・判断を伴わない形式と定義されており、オンライン診療と明確な違いがあります。
出典:オンライン診療の適切な実施に関する指針(令和5年3月一部改訂)|厚生労働省
オンライン診療の実現に必要なもの
これからオンライン診療を導入する医療機関では、オンライン診療ガイドラインに準拠した提供体制の構築や、届出の提出が必要です。
主に必要となる要素や手続きは、以下のとおりです。
- オンライン診療システムを利用するPC・スマートフォン・タブレットの導入
- オンライン診療のセキュリティ要件を満たすシステムの導入
- オンライン診療研修の受講と修了証の取得
- オンライン診療計画書の作成、患者への情報共有と合意
オンライン診療は、医療情報の保護と患者のプライバシー保護を目的としたセキュリティ対策が必須です。
オンライン診療システムの導入に伴い、運用・保守にかけるリソースがない場合には、導入前の充実したオンボーディングプログラムが提供されるオンライン診療システム『YaDoc(ヤードック)』がおすすめです。
まとめ
この記事では、オンライン診療と遠隔診療の違いについて以下の内容で解説しました。
- オンライン診療と遠隔診療の目的の違い
- 遠隔診療からオンライン診療の呼称変更された背景
- 遠隔医療とオンライン診療の関係性
かつて電話再診の枠組みとして算定されていたのが遠隔診療ですが、オンライン診療ガイドラインの策定により、オンライン診療に呼称変更されました。
オンライン診療は、PC・スマートフォン・タブレットなどの情報通信機器を用いて、医師と患者がリアルタイムに対話し、予約・問診・診療・診察・モニタリングなどを実現する遠隔医療の一形態です。
『YaDoc(ヤードック)』は、かかりつけ医と患者だけをつなぎ、双方向コミュニケーションを実現するオンライン診療システムです。
患者の状態を細かく把握できるモニタリング機能や、カスタマイズ問診などの独自機能を多数搭載しています。
スムーズで質の高いオンライン診療を、ガイドラインを遵守して実施したい方は、ぜひこの機会にご相談ください。