セミナー受講は必要?厚生労働省が指定するオンライン研修の必要性
医療機関がオンライン診療に対応する際、『厚生労働省が指定するオンライン診療研修』の受講が必須です。
厚生労働省が指定するオンライン診療研修は、オンライン診療の基本概念の理解を促進し、専用システムの導入に伴う情報通信機器の使用や、セキュリティリスクに関する知識を得ることができるオンラインセミナーに該当します。
この記事では、厚生労働省が指定するオンライン診療研修の必要性や、申込から修了証取得までの流れなどを詳しく解説します。
※この記事は、2023年6月8日時点の情報を元に記載しています。
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厚生労働省が指定するオンライン診療研修の必要性
厚生労働省は、『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に基づき、オンライン診療に責任を有する医療従事者に対して、オンライン診療研修の受講を義務づけています。
厚生労働省が指定するオンライン診療研修を受講する主な目的は、オンライン診療の実施に関する指針や必要となる情報通信機器の使用、情報セキュリティに関する知識の習得です。
(1) 医師教育/患者教育
オンライン診療の実施に当たっては、医学的知識のみならず、情報通信機器 の使用や情報セキュリティ等に関する知識が必要となる。このため、医師は、 オンライン診療に責任を有する者として、厚生労働省が定める研修を受講することにより、オンライン診療を実施するために必須となる知識を習得しなければならない。
※2020年4月以降、オンライン診療を実施する医師は厚生労働省が指定する研修を受講しなければならない。
医師は、オンライン診療に責任を有する者として、医療関係団体などによる 研修の受講等によりこうした知識の習得に努めるとともに、1の(1)及び(3)に 示す事項及び情報通信機器の使用方法、医療情報のセキュリティ上安全な取扱い等について、患者に対しあらかじめ説明をしておくべきである。
また、オン ライン診療では、対面診療に比して、より患者が積極的に診療に協力する必要があることも、あらかじめ説明しておくべきである。
『厚生労働省が指定するオンライン診療研修』はオンライン上で行われ、eラーニング形式の研究プログラムが組まれています。
各科目を受講した後、演習問題に全問正解することで研修修了証を取得できます。
厚生労働省が指定するオンライン診療研修の主な科目と目的
『厚生労働省が指定するオンライン診療研修』は、オンライン診療を行う医師向けの研修と、緊急避妊薬の処方に関する研修の2つに分かれています。
また、令和元年7月改定より、例外的に初診からのオンライン診療による緊急避妊薬の処方が可能となりました。
産婦人科以外の医師がこの処方を行うためには、厚生労働省が指定する上の研修とは別の研修の受講が義務とされています。そして、初診からのオンライン診療による緊急避妊薬の処方については、実態調査を行うこととしております。
では、それぞれの研修の主な項目と目的について解説します。
①オンライン診療を行う医師向けの研修
オンライン診療を行う医師向けの研修では、ガイドラインの内容をもとにオンライン診療の基本概念や遵守すべき事項、提供体制の要件などの知識を学べます。
5種類の科目が用意されており、講義動画を見たあとに各科目毎に10題の演習問題を全問正解することで合格となります。
科目名 |
担当講師 |
文書ページ数 |
講義時間 |
オンライン診療の基本的理解とオンライン診療に関する諸制度 |
日本医師会常任理事 長島公之 |
56P |
約35分 |
オンライン診療の提供に当たって遵守すべき事項 |
日本医師会常任理事 長島公之 |
82P |
約39分 |
オンライン診療の提供体制 |
医療情報システム開発センター理事 長山本隆一 |
17P |
約15分 |
オンライン診療とセキュリティ |
医療情報システム開発センター理事 長山本隆一 |
31P |
約34分 |
実臨床におけるオンライン診療の事例 |
医療法人社団嗣業の会外房こどもクリニック理事長 黒木春郎 |
38P |
約26分 |
②緊急避妊薬の処方に関する研修
令和元年7月のオンライン診療ガイドラインの改訂により、初診のオンライン診療でも例外的に緊急避妊薬の処方が可能となりました。
緊急避妊薬の処方に関する研修は、産婦人科以外の医師が処方を行う場合に受講が義務づけられているものです。先述の研修と同様に、各科目毎に10題の演習問題を全問正解することが修了証の取得に必要です。
科目名 |
担当講師 |
文書ページ数 |
講義時間 |
経口避妊薬(OC)について理解すべき事項-各種避妊法とOC全般 |
日本産婦人科医会常務理事 安達知子 |
68P |
約45分 |
緊急避妊(Emergency Contraception:EC) |
日本産婦人科医会常務理事 安達知子 |
58P |
約39分 |
『厚生労働省が指定するオンライン診療研修』の申込から修了証取得の流れ
『厚生労働省が指定するオンライン診療研修』は、インターネット環境があれば修了証の取得までオンラインで完結できます。
ここでは、申込から修了証取得までの流れを分かりやすく説明します。
①厚生労働省による特設サイトでの申込
まずは、厚生労働省が設けた『オンライン診療研修・緊急避妊薬の処方に対する研修の特設サイト』にアクセスします。
研修プログラムの概要や注意事項を確認したうえで、『オンライン診療研修申込はこちら』をクリックし、申込フォームに必要な情報を入力・送信します。
②必須科目をオンラインで受講する
申込フォームに入力したメールアドレスに、『厚生労働省が指定するオンライン診療研修』の受講案内が送付されます。
案内に沿ってPCからインターネットに接続し、必須科目をeラーニング形式で受講します。受講には、事前に医師資格証IDの取得が必要です。
③オンライン研修修了証の発行
必須科目の演習問題を全問正解した場合、オンライン研修修了証を『特設サイト』から取得可能となります。オンライン研修修了証は紙媒体ではなく、電子データとして発行されます。
厚生労働省が指定するオンライン診療研修の受講に関する注意点
『厚生労働省が指定するオンライン診療研修』をこれから受講される医療従事者の方に、知っておくべき注意点を3つ紹介します。
①医師等資格確認検索システムの登録が必要
『厚生労働省が指定するオンライン診療研修』を受講するには、医師等資格確認検索システムの登録が必須です。
医師等資格確認検索システムは、医師の氏名・資格・専門分野・所属する病院・クリニックなどの基本情報を確認できるシステムです。登録によって、正規の医療機関に所属していることを患者に証明できます。
医療従事者届出システムに登録されていない場合は、厚生労働省の特設サイトから利用申請が可能です。
>>医療従事者届出システムの利用申請はこちら
>>医師等資格確認検索はこちら
②オンライン診療研修修了証はPDFで保存する
オンライン診療研修修了証は、PDFファイルで発行されます。この際、スクリーンショットではなく、直接PDFファイルで保存する必要があります。
オンライン診療を実施する際は、医療機関の公式Webサイトにオンライン診療研修修了証を掲載する義務が発生します。
③快適なネットワーク環境が必要
『厚生労働省が指定するオンライン診療研修』は全てオンライン上で行われるため、通信が途切れない快適なネットワーク環境を整備することが重要です。
オンライン診療の実施においても、医師と患者間でリアルタイムな通信が行われるため、高速で安定したインターネット接続が必要です。
したがって医療機関では、信頼性のあるインターネットサービスを利用し、快適なネットワーク通信ができるPCを導入することが求められます。
また、医療情報は機密性が高いため、セキュリティとプライバシーの保護も不可欠です。
まとめ
この記事では、『厚生労働省が指定するオンライン診療研修』について以下の内容で解説しました。
- 厚生労働省が指定するオンライン診療研修の主な科目と目的
- 研修の申込から修了証取得の流れ
- 研修の受講に関する注意点
オンライン診療を実施するには、『厚生労働省が指定するオンライン診療研修』の受講が必須です。研修を受講して修了証を取得し、さらにオンライン診療ガイドラインに記された事項・要件を満たすことで実施が可能となります。
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