【2023年最新】オンライン診療のガイドラインとは?理解すべき重要項目と注意点
オンライン診療を正しく実施するには、厚生労働省が策定したガイドラインの内容を熟知しておく必要があります。
ガイドラインには、オンライン診療に関する要件や留意点がまとめられており、ルールに沿った導入および実施が求められます。
この記事では、オンライン診療のガイドラインや必ず理解すべき3つの重要項目を解説します。
※この記事は、2023年6月8日時点の情報を元に記載しています。
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オンライン診療のガイドラインとは?
オンライン診療のガイドラインとは、厚生労働省が策定した『オンライン診療の適切な実施に関する指針』のことです。
ガイドラインには、オンライン診療の実施にあたっての基本概念をはじめ、指針が適用される具体的な事項や、医療機関の提供体制に関する事項などがまとめられています。
オンライン診療のガイドラインに関する重要項目
オンライン診療を導入するにあたって、必ず理解すべきガイドラインである『オンライン診療の適切な実施に関する指針』と、それに係る重要事項がまとめられた『オンライン診療研修実施概要』、『オンライン診療の適切な実施に関する指針に関するQ&A』について解説します。
オンライン診療の適切な実施に関する指針
厚生労働省が策定した『オンライン診療の適切な実施に関する指針』では、オンライン診療で最低限遵守する事項がまとめられています。
そのなかでも、重要とされる項目は以下のとおりです。
- リアルタイムの視覚と聴覚の情報を含む通信手段(基本的にビデオ通話)を用いて実施すること
- かかりつけの医師が担当する場合や、既往歴やアレルギー歴などを把握できており医師が可能と判断した場合に実施できること
- オンライン診療計画書を作成し、患者の合意を得て実施可能であること
- オンライン診療における研修実施が必要であること
- オンライン上のやりとりだけでは、信頼関係の構築が難しい場合があること
オンライン診療の導入を検討している医療従事者の方は、まずは基本概念を理解し、適用や提供体制に関する要件を確認しましょう。
②オンライン診療における研修実施の概要
厚生労働省は医療従事者に対して、オンライン診療の目的・利点などの理解を促し、診療の質を向上させる取り組みとしてオンライン診療研修を実施しています。研修プログラムは合計5つの科目に分けられており、各科目で10個の演習問題が用意されています。
- オンライン診療の基本的理解とオンライン診療に関する諸制度
- オンライン診療の提供に当たって遵守すべき事項
- オンライン診療の提供体制
- オンライン診療とセキュリティ
- 実臨床におけるオンライン診療の事例
研修を通じて、オンライン診療の適切な実施に関する指針や情報通信機器の使用、さらには情報セキュリティに関する知識の習得も目的とされています。
研修の概要や申込方法については、厚生労働省の特設ページでご確認ください。
>>オンライン診療研修実施概要|厚生労働省
>>オンライン診療研修お申込み|厚生労働省
③オンライン診療の適切な実施に関する指針に関するQ&A
『オンライン診療の適切な実施に関する指針に関するQ&A』では、医療従事者から良くある質問と回答がまとめられています。
例えば、以下のような重要項目に対して言及されています。
Q4 「初診については「かかりつけの医師」が行うことが原則」とありますが、「初診」とはどう定義 されますか。【V1(2)①関係】
A4 本指針上における「初診」とは、初めて診察を行うことをいいますが、継続的に診療している場合 においても、新たな症状等(ただし、既に診断されている疾患から予測された症状等を除く。)に対する診察を行う場合や、疾患が治癒した後又は治療が長期間中断した後に再度同一疾患について診察する場合も、「初診」に含みます。なお、診療報酬において「初診料」の算定上の取扱いが定められていますが、本指針における「初診」と、「初診料」を算定する場合とは、必ずしも一致しません。
Q9 疾患・病態によって、オンライン診療により、対面診療と大差ない診療を行うことができる場合 はあり、オンライン診療のみで治療が完結することがあり得ますか。
A9 触診等を行うことができない等の理由により、オンライン診療では、診療に必要な情報が十分得ら れない場合もあることから、オンライン診療で得られる情報のみで十分な治療ができるかどうかは 個別に判断されるものと考えています。
また、同じ疾患名でも個々の患者の状態は様々であることか ら、疾患名だけで判断することは困難です。 したがって、オンライン診療は対面診療と適切に組み合わせて行うことが基本です(オンライン診 療のみで必要な情報が得られ、結果として、対面診療を行うことなく治療が完結することはあり得ます)。
なお、医療現場におけるオンライン診療の活用については、一般社団法人日本医学会連合にお いて検討していただける予定であり、厚生労働省としても、当該検討結果や内外の診療実績や論文等 を踏まえ、継続的に検討していく必要があると考えています。
オンライン診療のガイドラインと併せて内容を確認し、実施における要件を満たしているかを確認しましょう。
オンライン診療のガイドラインにおける法的拘束力
オンライン診療のガイドラインは、国会で定められた法令ではなく、厚生労働省が策定した行政立法にあたります。
ルール違反をしても犯罪にはなりませんが、厚生労働省による行政指導・行政処分の対象となるため、一定の法的拘束力を有するという見方をされています。
オンライン診療のガイドラインは毎年更新される予定となっているため、検討会の動向や改訂された内容を把握し、医療の質を保っていくことが重要です。
オンライン診療のガイドラインに準じた導入における注意点
ここでは、オンライン診療のガイドラインに準じた導入および実施に関する4つの注意点を解説します。
①研修の受講が必須である
オンライン診療は新たな診療手法であり、従来の対面診療とは異なる要素が存在します。
そのため厚生労働省では、導入施設での研修により医療従事者がオンライン診療の適切な実施方法や注意点を学び、患者の安全性を確保するための知識と技術を習得することを求めています。
また、オンライン診療では情報通信機器の使用が必須のため、インターネットの接続やシステムの操作、セキュリティの担保に関する知識も要求されます。
研修はe-learning形式となっており、インターネット上でいつでも受講可能です。
>>オンライン診療研修実施概要|厚生労働省
>>オンライン診療研修お申込み|厚生労働省
②患者の合意が必要である
ガイドラインでは、オンライン診療は患者側からの希望がない限り実施できないとされています。
これは、医師の都合だけでなく患者の意思を尊重するためです。一方で、医師の判断がなければオンライン診療は実施できないため、実際には双方の合意が必要です。
双方の合意を確認する手段の一つとして、患者の疾患や診断結果、オンライン診療の方法や頻度など、具体的な内容を記載する診療計画書の作成が求められます。
オンライン診療への移行には、診療計画書の作成と患者との合意形成が欠かせません。
『オンライン診療の適切な実施に関する指針に関するQ&A』では、オンライン診療の留意事項の説明を経て、患者がオンライン診療を希望する旨を電子データや紙の書類に署名、またはカルテへ記載してもらう必要があることに言及しています。
③実施の可否を毎回確認する必要あり
一度オンライン診療を実施した患者でも、診療の度に安全な実施ができるかどうかを確認する必要があります。
医学的な観点により、オンライン診療を行うことが適切ではないと判断した場合、速やかに対面診療につなげることになります。
また、このような対応が行われる可能性があることを、事前に患者に伝えておかなければなりません。
④メリット・デメリットの詳細な説明が必要
患者には、診療計画書でオンライン診療の治療内容や方針の説明を行います。
その際、メリットだけではなくデメリットまで詳細に説明し、オンライン診療の実施に合意を得ることが重要です。
(例)
メリット |
デメリット |
・通院する手間と時間が省ける |
・触診ができないため、対面診療よりも正確性が劣る傾向にある |
オンライン診療のガイドラインの内容を熟知し、患者だけではなくご家族も含めて理解いただくことが必要です。
まとめ
この記事では、オンライン診療のガイドラインについて以下の内容で解説しました。
- オンライン診療のガイドラインにおける重要項目
- オンライン診療のガイドラインにおける法的拘束力
- オンライン診療のガイドラインに準じた導入における注意点
オンライン診療を導入するにあたって、ガイドラインに該当する『オンライン診療の適切な実施に関する指針』は必ず目を通して理解しなければなりません。
『オンライン診療研修実施概要』や『オンライン診療の適切な実施に関する指針に関するQ&A』などにも、オンライン診療の導入および実施に関する重要事項がまとめられています。
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まずは、オンライン診療の実施に関するお悩みからお気軽にご相談ください。